受賞タイトル:水産油脂の栄養機能に関する研究
<授賞理由> 未利用水産資源に着目した本研究は、油化学の発展に新たな視点をもたらす重要な成果である。特に、高度不飽和脂肪酸およびそのグリセロリン脂質の有用性を解明し、がんや脂質代謝異常の改善効果を実証したことは、油化学の基礎研究のみならず、栄養機能の向上や産業応用の可能性を大きく広げるものである。その社会的意義は高く、ヒトの健康寿命延伸への貢献も期待される。 さらに、本研究は新規脂質の合成に加え、パイロットプラント規模での抽出・精製技術の確立に至り、経済性や持続可能な開発目標(SDGs)の視点からも、実用化へ向けた極めて広範な研究成果を示した。これらの成果は、油化学および油化学工業の発展に顕著な影響を与えるものであり、その卓越した貢献を高く評価し、ここに学会賞を授与することとした。